2012.10.16 Tuesday - 09:42

香港で開催されたタイポグラフィカンファレンスATypI 3・4日目レポートと番外編

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ATypI1日目2日目のレポートに続き、3・4日目のレポートです。

今回も全てのセッションに参加したわけではないのでダイジェストでお伝えします。
(ちなみに5日目が最終日ですが、本業の仕事があるため5日目は参加せず、残念ながら先に帰国しました。)

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3日目からはINNOCENTREからHotel ICONへと会場を移し、より広く、より高級感溢れる会場になりました。

まずモリサワの八神さんが、日本の漫画文化、自分を示す「私」言い方や、例えば「青色」の色名にも様々な呼び名があることなど、日本語全般の紹介をしつつ、モリサワの新ゴが日本語、中国語、韓国語であれば、例えばサイン看板などで統一感が生まれるというお話をされました。また文字数にして34ウェイトで合計783,972文字!という驚愕の多さに会場がどよめく場面もありました。


個人的に3日目興味深かったのは、Martha Carothersさんによる、アルファベットの大文字と小文字を壁を取っ払った26文字“Alphabet 26”を考案したUSのグラフィックデザイナーBradbury Thompsonのお話。Monalphabetとも言うみたいです。一見何でもないように思われますが、実は厳密なロジックに基いて開発されているんですね。

また近くにある香港理工大學では、世界的な書体デザインコンペティションLetter.2Granshanなどの受賞書体のタイポグラフィポスターが一堂に集められ、Adobeの“かづらき”や、視覚デザイン研究所のロゴJr.、立野竜一さんのPirouetteのほか、既に世に出た人気の欧文書体がたくさん展示されていました。

3日目は全体的に中国語、日本語、韓国語以外の非ラテン文字の話題が多く、香港理工大學の図書館ではイギリスのレディング大学が所蔵するマイナーな非ラテン文字の膨大な資料が展示され、夕方〜夜にはそのレビューが行われました。

そういえばHelveticaのタイ語バージョンであるHelvetica ThaiのタイプデザイナーAnuthin Wongsunkakonさんの話もありました。

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4日目の最初のセッションは、ドイツのライノタイプで活躍される小林 章さんによる、日本の丸ゴシック体のお話。

日本では道路標識に使われているナールを始め、手書きの看板においても幅広く使われている丸ゴシック体ですが、欧文書体では最近になってDIN Next Rounded、Gotham Rounded、Museo Sans Roundedなど、丸ゴシック体が多数リリースされ、1つのトレンドになっています。

海外では「丸ゴシック=やわらかい、かわいい」というイメージが強いらしく、日本では「止まれ」「高圧注意」「危険」のような注意を促す看板にも使われていることに、会場の海外の方が笑っていました。…なるほど、言われてみれば確かにユニークかも。こういうのこそが文化の違いだなと感じました。

また小林さんが大阪の手書き看板屋さんへ取材に行った際のエピソードも紹介されました。七輪で焼いた肉をカッターナイフで切ってご馳走してくれたり、ビールを飲みながら看板を作っていたりと、大阪らしい情に溢れる素敵な看板屋さん(その看板屋さんのブログ記事)だったそうです。小林さんとはその後ランチをご一緒しました。

次は、Japanese Helvetica – Hiragino(ヒラギノ)の予定だったのですが、残念ながら急遽中止になってしまったそうです。

というわけで、次に登壇されたのは大日本タイポ組合の秀親さんと塚田さんと、ヨコカクのタイプデザイナー岡澤さん。新世界タイポ研究会による「もしひらがなが最初から横書きだったらどんなデザインになっていたか」という研究報告です。

僕が参加したセッションの中では、おそらく1番会場が盛り上がったのではないかと思います。特に質疑応答が!何とも答えづらい質問を英語で次々と投げかけられていましたが、しっかりと答えていて素晴らしかったです(笑。

そんな異様な会場の盛り上がりを受けて、次の登壇者が最初に「私のトークにジョークはないからね!」と謎の予告をする場面も。本当にジョークはなかったのですが、書体の視認性の話題で、スクウェア系グロテスク体Eurostileと、ヒューマニスト系サンセリフ体Frutigerの2つを比較し、教習所にあるような自動車のドライブシミュレーターでどれだけ認知エラーが減ったかどうかという調査結果という興味深いお話でした。結果として男性では10%ほどエラーが減ったそうです。

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というわけで、ATypI@香港の旅(でもその半分は観光)は無事終了しました。

アジアで開催されるのと、欧米で開催されるのでは雰囲気や内容が大分異なると思いますが、今回書いたATypIのレポートが来年以降参加される方の参考になれば幸いです。(今回はアジアの文化や文字を欧米人に紹介するような内容のセッションが多かったので。)

また僕にとって香港は初のアジアで、久々に一人旅を堪能しました。合い間に抜けて、教えてもらっていたおすすめの本屋PAGEONE誠品書店へ出向き、本を何冊か購入しました。

日本では若干入手が難しいCreativeReviewオリンピック特集Dingbats(絵文字フォント)特集。とくに前者は是非とも手に入れたいと思っていたので、見つかってラッキーでした。しかも1冊1,200円程度で購入できました。

あとCreative Communeという香港貿易発展局 (Hong Kong Trade Development Council) による資料?が投げ売りされていました。やたら装丁が凝っていてジャケ買いしました。

Twitterでも軽く触れましたが、文字が一切無く絵文字やピクトグラム、ロゴだけで構成された不思議な「地書: 從.到.」という本を入手。後から調べて分かったのですが、誠品書店独自の企画本みたいです。読むのに時間がかかりますが、とてもユニークで面白いです。ちなみに本の最後にはマリオやテトリスが出てきます。

最後までレポートを読んでくださりどうもありがとうございました。

ATypI Hong Kong 2012
http://www.atypi.org/hong-kong-2012

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