2012.6.27 Wednesday - 09:57

Georgia ProとVerdana Proの深い話

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これまで欧文書体セミナーTypeTalksやCSS Niteの講演、雑誌「Web Designing」の執筆などで断片的に取り上げたGeorgia ProVerdana Pro。それぞれのPro版が2010年にリリースされてからかなり月日が経過してしまっており、今更感が否めないのですが、GeorgiaとVerdanaはどんな書体なのか、なぜPro版が発売されるに至ったのかを当ブログで改めて記事にしてみたいと思います。

GeorgiaとVerdanaってどんな書体?

まずGeorgiaとVerdanaというフォントをご存じない方は、一度フォントフォルダを確認してみてください。WindowsにもMacにも必ずインストールされている、いわゆるデフォルトフォントです。

どのパソコンにもインストールされているので、Webフォントが登場する以前は“Webセーフフォント”として使える数少ない書体でした。Webセーフフォントと言うと、ArialやComic Sansなどあまりデザイナーが好んで使わないものばかりという悪い印象が強いですが、GeorgiaとVerdanaの2つは別。海外ではむしろ好んで使われている優等生的存在でした(その理由は後述)。

WindowsとMacにインストールされているデフォルト欧文フォントの例

また両書体とも著名なタイプデザイナーであるマシュー・カーター氏が制作した書体。書体のデザインといえば、紙媒体を前提に制作されることが多いですが、最初からスクリーン用に開発されたという点において他の書体とコンセプトが大きく異なります。しかも驚くべきことに1990年代の話です。

マシュー・カーター氏のお話は欧文書体デザイナーとして活躍する小林章さんの著書「欧文書体2」に、詳しい解説やインタビュー記事が載っているので是非読んでみてください。

オールドスタイル数字を備えた本文によく合うセリフ体 Georgia

Georgiaはスクリーン上の小さな文字でも潰れないように、エックス・ハイト(小文字のxの高さ)を高めに設定し、ふところを深く取ってデザインされています。

そしてもう1つ、本文に合うように高さが揃っていないオールドスタイル数字を備えているのが大きな特徴です。同じデフォルトフォントであるTimes New Romanの数字と比べてみれば一目瞭然。海外のWebサイトで、Georgiaが本文用書体として非常によく使われているのは、このオールドスタイル数字の存在が大きいのかもしれません。ちなみにGeorgia以外にオールドスタイル数字を備えたデフォルトフォントは他に存在しません。

オールドスタイル数字は数字の存在感を弱めることができるため本文と調和しやすく、ライニング数字は表計算や統計など数字の存在が大切なときに使うとよいとされています。

The New York Timesのサイトでは、
見出し・本文ともにGeorgiaが使われています。(2012年6月現在)

オールドスタイル数字やライニング数字についてもっと詳しく知りたい方は、高岡昌生さんの著書「欧文組版」を是非読んでみてください。

…ちなみにGeorgiaは1996年に開催されたアトランタオリンピックの公式ロゴにも使われたそうですが、ネーミングに関してオリンピックとは特別関係はないとのことです。

IKEAのコーポレート書体にもなったサンセリフ体 Verdana

Verdanaも上述のGeorgia同様、エックス・ハイトを高めに設定し、他のサンセリフ体に比べて横幅が広く、かつふところが深くデザインされています。またユニバーサルデザイン思考を持ったUD書体ではすっかりお馴染みである、数字の1や、大文字のI、小文字のlが区別しやすいようにデザインされています。

左から数字の1、大文字のI(アイ)、小文字のl(エル)

またVerdanaといえば、これまでずっとFuturaを使ってきたIKEAが突然Verdanaに切り替えたという事例も記憶に新しいです。

IKEAのコーポレートフォントとして使われるVerdana

Pro版はファミリーが大幅拡充!OpenTypeのフォント機能も

前置きがかなり長くなりましたが、なぜ両書体のPro版が発売されることになったのでしょうか。理由は、やはり「人気があり、今もなおよく使われているから」に他なりません。何年もの開発期間を終え、Monotype Imagingとマシュー・カーター氏、そして実績のあるフォントファウンダリFont Bureauの3者によるコラボとして実現し、2010年にリリースされました。

Webフォント全開なGeorgiaとVerdanaの特設サイト

これまでRegularとBold、そのイタリック体しかありませんでしたが、Pro版ではLightやSemi Bold、Black、さらにはCondensed体も追加され全部で20フォントに大幅拡充されました。

他の人気書体同様、豊富なウェイトやスタイルが用意されました。

Georgiaはオールドスタイル数字を備えていますが、オールドスタイル数字だけではなく、通常の高さが揃ったライニング数字も追加されました。もちろんVerdanaのほうも両方の数字を備えています。これによりGeorgiaならGeorgiaのみで、本文用にはオールドスタイル数字を、表計算にはライニング数字を使って切り替えることができます。

その他、ギリシャ語やロシア語、マイナーなヨーロッパ言語にも対応したほか、(※すいません!すでに対応済との指摘をいただきました。)これまでスクリーン書体して愛されてきたGeorgiaやVerdanaが、引き続きスクリーン上の定番書体として使えるように、合字(リガチャ)やスモールキャップなどのOpenTypeフォント機能が充実しており、紙媒体だけではなくWebサイト上でもWebフォントとして使えば、本格的な欧文組版が実現できるようになっています。

特設サイトのOpenTypeのフォント機能に対応したブラウザと比較。
Verdanaでもオールドスタイル数字が表示されている。

Georgia ProとVerdana Proはどうすれば使える?

GeorgiaとVerdanaはデフォルトフォントなので、誰でもそのまま使うことができますが、Pro版は当然ながら別途購入が必要になります。Monotype Imagingがライセンスを持っていることもあり、LinotypeFonts.comMyFontsのほかFont Bureauからも購入することができます。

またWebフォントとして用いる場合は、上記と同じ系列のFonts.com Web FontsWebtypeで取り扱いがあります。

・・・

ここ近年Webフォントの普及により、海外ではWebタイポグラフィ(スクリーン上のタイポグラフィ)に注目が集まっています。これまで欧文組版の分野でできなかったことが着実に実現できるようになってきました。

このタイミングで、スクリーン用書体の原点とも言えるこの2つの書体にPro版がリリースされたことは、非常に興味深いことではないでしょうか。繰り返しになりますが、GeorgiaとVerdanaは最初からスクリーン用に開発された書体です。Webフォントで自由に書体を選べる時代になりましたが、この2つの書体が担っている役割は極めて大きく、Pro版の存在でさらに確立した気がします。

スクリーン用書体ということで、特にWebデザイナーの皆さんは、このGeorgiaとVerdanaの存在意義を頭の片隅に入れておくとよいかもしれません。

Georgia Pro・Verdana Proの特設サイト
http://georgiaverdana.com/

Linotype – Georgia Pro & Verdana Pro
http://www.linotype.com/6659/georgiaproverdanapro.html

MyFonts – Georgia Pro
http://www.myfonts.com/fonts/ascender/georgia-pro/

MyFonts – Verdana Pro
http://www.myfonts.com/fonts/ascender/verdana-pro/

Fonts.com Web Fonts
http://www.fonts.com/web-fonts

Webtype
http://www.webtype.com/

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