2013.6.13 Thursday - 20:24
どれを買えばお買い得? Complete Family Pack / Family Pack / Value Packなど欧文フォントパック製品のキーワードを徹底解説
キーワード
フォントは1フォント単位で買うよりも、いくつかのフォントをまとめて購入したほうがお買い得となっており、Complete Family Pack / Family Pack / Value Pack など、様々なパック製品が数多く用意されているのですが…
えっと…一体どれを購入すればお買い得なのでしょうか。それぞれ値段も異なっています。せっかくフォントを購入しようと思ったのに、購入直前で挫折してしまってはもったないですね。
…ということで、自分自身への再確認も含め、パック製品に付けられているキーワードについて調べてみることにしました。
本記事は原則、HelveticaやUnivers、Frutigerなどの有名・定番書体を取り扱う、Monotype / Linotype / ITCブランドのフォントの解説となります。他のフォントブランドには当てはまらない場合がありますので、予めご了承ください。
また本記事はパック製品のキーワードの解説です。StdやPro、Com、W1G、Paneuropeanなどの収録言語の解説については、これでもう迷わない! Std / Pro / Com / W1G / Paneuropean / Cyrillicなど欧文フォントの言語のキーワードを徹底解説をご覧ください。
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あるフォントのファミリー構成を想定し、図式化してみました。通常のBasicのほか、長体のCondensed、丸みを帯びたRoundedがあると想定してください。
Complete Family Pack
とにかく全部入りパック製品。その書体にCondensedやRoundedがあれば、それらも全て含まれています。キリル文字やギリシャ文字が存在する書体に関しては、収録言語数の解説記事の通り、Paneuropean Complete Family Packなどの名称が全部入りパック製品になりますが、日本人の一般的な利用であれば必要ないので、わざわざ高いパック製品を購入しないようにしましょう。
Neue Frutiger Complete Family Packの例
Family Pack
ファミリーが全部入ったパック製品。CondensedやRoundedがあれば、それぞれにFamily Packが存在します。お買い得感は薄れますが、全てのFamily Packを購入すれば原則Complete Family Packになります。
ウェイトは後から追加されることもある?
新しいフォントがリリースされた後、予告なくウェイトが追加されることがあります。例えばAvenir Nextは、当初ThinやLightのウェイトが無かったはずなのですが、後にひっそりと追加されていたという例があります。また同フォントはMac OS X 10.8からの標準フォントですが、ThinやLightは抜けていますね。こういった例からも分かるように、全部揃うはずのComplete Family PackやFamily Packの中身がアップデートされることがあります。
Value Pack / Select Pack / Pack / Volume / Selection など
いくつかのウェイトが小分けにされたパック製品。1,2,3…とシリーズ化されていることが多く、値段的にも気持ち的にも非常に購入しやすいパック製品です。
DIN Next Condensed 2 Value Packの例
またValue Packは、 通常 / 斜体 / 太字 / 太斜体 の基本4フォントがセットになっている書体が多いため、特にMicrosoft Officeユーザーにとってお買い得かつ利便性の高いパック製品となっています(例:DIN Next Basic 2 Value Pack)。
またその一方で、うまい具合にウェイトが分散されていることもあり(このあたり商売上手なのですが)、例えばLightとRegularとBoldとが欲しいのにもかかわらず、LightとMediumとBoldがセットにされてるような歯がゆい思いをすることも。
一見お得で購入しやすいパック製品ではありますが、その書体に愛着があり、将来的にウェイトを買い足す可能性があるのであれば、Complete Family PackやFamily Packを購入したほうがよいでしょう。
なぜ 通常 / 斜体 / 太字 / 太斜体 の基本4フォントがMicrosoft Officeユーザーにとって最適なのか
Office系ソフトには一発で太字や斜体にできるボタンが存在しますが、それぞれに対応したフォントが出てくるようにするにはこの4フォントの構成にする必要があり、どのウェイトが紐付いているかはソフト側が自動判断しているのではなく、フォントの製作者が決めているのだそうです。
例えばBoldが存在しないAvenirは太字ボタンを押すとHeavyが呼び出されるように設定されています。一方、Boldが呼び出されるように設定されているNeue Frutigerにおいて、RegularとHeavyしか持っていない場合は太字ボタンを押してもソフト側が気を利かせてHeavyを呼び出したりはしません。
Value Packを全て購入してもFamily PackやComplete Family Packにはならない?
全てのValue Packシリーズを購入しても、Complete Family PackやFamily Packにはならないフォントがあります。
例えば合計10ウェイトあるNeue Frutigerだと、3ウェイトずつ収録されている3つのValue Packを全て購入しても、Extra Blackだけ揃いません。合計値が合わない場合は、何が抜けているのか確認してみるとよいでしょう。
Essentials Value Pack / Mix Value Pack など
原則パック製品には、同じ書体の組み合わせとなっていますが、その垣根を超えた全く違う組み合わせになっているパック製品もあります。
例えばDIN Next Mix Value Packでは、同じDIN Nextシリーズではありますが、BasicのUltra Light / Regular / Black、CondensedのRegular / Black、RoundedのBoldのバラバラ6フォントで構成されています。
ほか、Neue Frutiger + Serif 1 Value Packでは、Frutigerのセリフ体との組み合わせのパック製品であったり、
OpenType Essentials 1 Value Packは、全く異なる趣向の書体が60フォントも収録されていたりします。
LinotypeのCompilation Value Packagesのページに、様々なパック製品がまとまっていますが、バラで購入したほうがよいのか、書体ごとにまとめて購入したほうがよいのか検討することをおすすめします。
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以上長くなりましたが、ポイントをまとめてみました。一部例外のフォントもありますので、念のため購入前にご確認ください。
- 収録数:Complete Family Pack > Family Pack > Value Pack
- 予算があり、とにかく全部欲しい場合は、迷わずComplete Family PackやFamily Packを検討する。
- Value Packなどの小分けパック製品を全て購入しても、全ウェイトが揃わない場合もある。
- W1G / Paneuropean / Cyrillic / Greekなどのキーワードがあるパック製品は、日本人の一般的な利用であれば購入候補から除外してしまってよい。
- ウェイトがひっそり追加されていることがあり、パック製品の中身は随時アップデートされている。
StdやPro、Com、W1G、Paneuropeanなどの収録言語の解説については、これでもう迷わない! Std / Pro / Com / W1G / Paneuropean / Cyrillicなど欧文フォントの言語のキーワードを徹底解説をご覧ください。
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