2013.2.4 Monday - 20:29

Linotype: The Film — 文字好きや印刷関係者必見!1900年初頭に活躍した自動鋳植機Linotype(ライノタイプ)のドキュメンタリー映画

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Linotype: The Filmは、1900年初頭に活躍した自動鋳植機Linotype(ライノタイプ)のドキュメンタリー映画。映画化実現に向けて、Kickstarterにて投資を募り実現したプロジェクトです。

映画のサブタイトルにもある“Eighth Wonder of the World”は、あのトーマス・エジソンの言葉であり、Linotypeを「世界第8番目の不思議」としていたそうです。

そんなLinotypeの歴史から仕組みはもちろん、今もLinotypeで仕事をする様々な関係者が登場し、次々とエピソードを語りながら全貌を紹介しているのが本ドキュメンタリー映画です。

まずはオフィシャルトレーラーをご覧ください。

Linotype(ライノタイプ)とは一体何か

【お詫びと再追記(2013.2.5)】
記事アップ時にLinotypeに関する説明を書いていたのですが、一部不正確であるとのご指摘を受けました。

「新聞や出版の発達によってスピードが要求されるようになったためLinotypeが普及した」のではなく、正しくは「Linotypeによって新聞や出版が一気に活性化した」でした。申し訳ありません。

またネットで検索して見つかるLinotypeに関する内容も、正確でない部分が多く、説明には不十分であるとの結論に達しました。単にブログの一記事で語れる内容ではありません。
Linotype(ライノタイプ)とは一体何なのか…その答えは是非本映画を観て知ってください。

フォントメーカーのLinotype社との関係は?

デザイナーの皆さんにとっては有名書体や小林章さんでお馴染みであるLinotype社が、Linotype本体のほか、部品の取り扱いや修理サービスを行なっていました。現在のLinotype社は、自動鋳植機であるLinotypeからは完全撤退し、フォントメーカーとなっています。

Linotypeと同じような自動鋳植機にMonotype(モノタイプ)がありますが、Linotypeは“Line of type”の名の通り、行単位で組版を行う自動鋳植機であるのに対し、Monotypeのほうは接頭辞“mono-”の通り、1文字ずつ組版を行う自動鋳植機です。

2006年には、Monotype社がLinotype社を買収したことも記憶に新しいですが、かつての競合企業が1つになったということは、ある意味驚きであると言えますね。

テンポが良く、笑いもある楽しいドキュメンタリー映画

正直最初は教育用で難しそうな映画かなぁと心配していたのですが、実際に観てみるとテンポが良く、しかも笑いもある今風の楽しいドキュメンタリー映画でした。知識が全く無くても大丈夫。Helveticaのドキュメンタリー映画と同じくらいカジュアルです。

博物館で流れているというよりは、おしゃれカフェで流れてそうな雰囲気ですかね。

Monotype社で活躍する書体デザイナー大曲都市さんによる日本語字幕付

この手の映画はどうしても専門的な部分が出てくるのですが、Monotype社で活躍する書体デザイナー大曲都市さんが分かりやすく日本語字幕をつけてくださいました。普通に考えたら日本語字幕は無さそうな映画なので、うれしい限りです。

ちなみに映画のメニューや冊子などに使われている書体は、大曲さんがデザインした“Metro Nova”で、冊子やエンドロールにもクレジットが登場します(フォントは2013年夏発売予定とのこと)。本編内に使われている書体は“Metro”そのものだそうです。【一部追記】

2012年12月に大曲さんにお会いした際、本DVDをお土産としていただきました。ありがとうございました!

Metro Nova

Blu-ray・DVDで販売中! 是非とも文字好きや印刷関係者に観てほしい

Linotype: The Film公式サイトにてBlu-ray ($29.95) / DVD ($24.95)を購入することができます(別途送料+$14がかかります)。いずれもリージョンフリーなので、日本のプレーヤーでも再生可能。日本語字幕もついているので安心です。

現時点で日本国内での取扱がないので、Amazonやどこかの雑貨屋さんが販売してくださることを切に願います。

Linotype: The Film DVD

現在、キーボードを叩けばフォントデータによって任意の書体で文字を打つことができますが、その“当たり前”へとたどり着くまでに、こんな歴史があったのかと驚かされます。

個人的にLinotypeを処分するために重機でぶっ壊すシーンは、今でも目に焼き付いています。あとLinotypeが競売にかけられているシーン…。思いも寄らない破格に驚きました。土地と管理維持費があれば、1台欲しいです(笑。

印刷に携わる方や、書体に興味がある多くの人に観てほしいですね。

Linotype: The Film
http://www.linotypefilm.com/

Linotype: The Film オフィシャルショップ
http://shop.linotypefilm.com/

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