2013.11.12 Tuesday - 20:12
まちモジ — 日本の看板文字に丸ゴシックが多いのはなぜ?みんなが文字を楽しめる小林 章さんの文字本第2弾
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小林 章まちモジは、Monotype社にてタイプディレクターとして世界的に活躍する小林 章さんによる書籍。デザイナーやフォントフリークではない多くの一般の方にも読まれたベストセラー「フォントのふしぎ」の第二弾です。
本の内容は大きく3つに分かれています。
まず1つ目の章は副題に「日本の看板文字はなぜ丸ゴシックが多いのか?」とある通り、海外の公共サインではほとんど使われない丸ゴシックが、なぜ日本だと使われまくっているのかという考察です。
2012年香港で開催された国際的な文字カンファレンスATypI Hong Kong 2012での講演内容を、大幅に情報や写真資料を追加した内容となっています。
私も参加して生で聴いたのですが、外国の方の反応が良くとても楽しめる内容だったので、ぜひとも1冊の本にして欲しいなぁと思っていました。
個人的に道路交通標識やサインデザインを見るのが大好きなのですが、とにかく写真資料が多いので、そういった嗜好がある方にとっては思わず興奮してしまう内容です。
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2つ目の章は「世界のまちモジ観察」ということで、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界各国の街中の文字から、国や言語による使われ方の違いや傾向を考察した内容となっています。
先日発売されたTYPOGRAPHY04にも「まちモジ」の特集記事がありましたが、味わい深い手書き文字や素人が書いたユニーク文字は、文字関係者にとってちょっとしたトレンドになっているかもしれませんね。
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「フォントのふしぎ」 の続編ということで、今回も誰が読んでも面白く、読みやすい、そして思わずへぇ〜となるカジュアルな内容になっていますが、最後3つ目の章「フォントの世界」では、デザイナーが業務に活かせる内容となっています。
具体的にはマクドナルドやドイツの航空会社Lufthansaに使われる書体、小林さんがデザインしたAkkoのカスタム版がドイツの大手スーパーに使われた話、さらにはアクセントやダーシなどの欧文組版の話題も。
小林さんの書籍「欧文書体」「欧文書体2」や、嘉瑞工房の高岡さんの「欧文組版」においても何回か出てきた話題なのですが、その場で覚えてもすぐ忘れてしまうもの(…失礼)。こうやって、何回も繰り返し見て覚えていくことで、欧文組版のルールを積み重ねて覚えていける…そんな気がします。
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余談ですが、本の帯(表紙カバー)を外してみてみると、力強い“まちモジ”の文字が!こちらは最初の章で登場する大阪の手書き看板文字職人、板倉さんと上林さんの合作だそうです。
いつもより長いレビューになってしまいましたが、一言で言うと「面白い」。デザイナーの方はもちろん、そうでない一般の方にも幅広く読んでいただき、文字に興味を持つ方が増えるといいなぁと感じてしまいました。
レビューを書くにあたり、出版社の方に画像を提供いただきました。ありがとうございます。
まちモジ(グラフィック社)
http://www.graphicsha.co.jp/book_data.php?snumber3=1371
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