Frutiger (Neue Frutiger) フォントの考察と導入・購入方法

info過去に運営していたフォントブログの記事を再編集して公開をしています。

Frutigerとは?

Frutiger(フルティガー)は、スイスの書体デザイナーAdrian Frutigerが、自身の名前を書体名に冠した書体で、1960年代にフランス・パリのシャルル・ド・ゴール空港のサイン用書体として制作されました。ふところが広く、上品でゆったりとしたデザインで、視認性の高さから駅や空港、施設の案内標識で使われる定番書体の地位を確立しています。

サインデザインの定番書体

オランダ・アムステルダムのスキポール空港では、Frutigerをダイナミックに使用していることは有名な話で、世界中の駅や空港で採用されています。ロンドン・ヒースロー空港は伝統的にBemboのカスタム版が使われていましたが、Frutigerのカスタム版に切り替えられています。

日本でも東京メトロのサインデザインではFrutiger+新ゴの組み合わせが採用され、JR東日本では“○番線”の部分の数字や、高速道路の看板に使われる数字(数字以外の欧文はVialog、ナンバリングはVectora)にFrutigerが使われています。

オランダ旅行で撮影したスキポール空港や駅の案内看板集1
オランダ旅行で撮影したスキポール空港や駅の案内看板集2
オランダ旅行で撮影したスキポール空港や駅の案内看板(※無断転載禁止)
フランスのシャルル・ド・ゴール空港で撮影したFrutiger(※無断転載禁止)

改刻版 Neue Frutiger の登場

Neue Frutiger(ノイエ・フルティガー)は、Monotypeの小林 章さんとフルティガーさんが2009年にリリースしたFrutigerの改刻版です。より視認性を高めるため骨格やアクセントがシャープになり、ウエイト(太さ)が5→10種類に増加され、同じウエイト数でコンデンス体も用意されました。またフルティガーさんによるオリジナルデザインの矢印がグリフに追加され、サインデザインで活用できるようになりました。2019年にはバリアブルフォント版のNeue Frutiger Variableもリリースされています。

Neue Frutiger / Neue Frutiger Condensedのファミリー

  • Ultra Light / Ultra Light Italic
  • Thin / Thin Italic
  • Light / Light Italic
  • Book / Book Italic
  • Regular / Italic
  • Medium / Medium Italic
  • Bold / Bold Italic
  • Heavy / Heavy Italic
  • ExtraBold / ExtraBold Italic
  • Black / Black Italic

マイナーな言語にも対応したNeue Frutiger World

2018年にはキリル文字やギリシャ文字、アラビア文字など多言語に対応したNeue Frutiger Worldがリリースされました。マイナーな言語にも対応する場合は、Neue Frutiger Worldがおすすめです。日本語書体については後述の「たづがね角ゴシック」を参照ください。

Neue Frutigerに合う和文書体「たづがね角ゴシック」

2017年にMonotype初の和文書体として、欧文にNeue Fruigerを採用した「たづがね角ゴシック」がリリースされました。Monotypeの小林 章さん、土井 遼太さん、山田 和寛さん(nipponia)の3者が制作に携わっています。Neue Fruigerと同じ10種類のウエイト(太さ)展開で、面倒な和欧混植の調整も不要で使うことができます。

視認性の高さから駅や空港、施設の案内標識での用途としてはもちろんのこと、印刷物やウェブ・アプリ、書籍、広告など、幅広い用途で使える汎用性の高いゴシック体となっています。JR東海やメルカリ、セブン-イレブンのPB商品のパッケージなど様々な業種で採用事例があります。2018年にはグッドデザイン賞を受賞しました。2021年にはバリアブルフォント版も登場しました。

たづがね角ゴシック の特設サイト

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ひらがな・カタカナが水平になった「たづがね角ゴシック Info」

漢字や欧文はたづがね角ゴシックそのままに、ひらがなとカタカナのデザインが変更された「たづがね角ゴシック Info」も後にリリースされました。ふところが広く、ラインが直線的になっているのが特徴です。2021年にはバリアブルフォント版も登場しました。

たづがね角ゴシック Info のフォントストーリー

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Frutiger (Neue Frutiger) やたづがね角ゴシックを使うには?

Frutiger (Neue Frutiger) や たづがね角ゴシックはMonotypeのフォントであるため、MyFontsや国内のフォント販売サイトから購入するか、Monotype LETSから利用することが可能です。

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Adrian Frutiger – Typefaces: Complete Works

フルティガーさんが生涯制作した書体が1冊にまとまった本です。

図説 サインとシンボル

フルティガーさんの分析・検証がまとまった名著の日本語版です。

初稿:2008.9.2