2009.10.9 Friday - 09:00

次期Firefox 3.6が対応する新しいWebフォント形式“WOFF”とは?

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前回の記事「SafariやFirefoxも正式対応!CSS3のウェブフォント(Webfonts)とは何か」から3ヶ月ほど経ってしまいましたが、新バージョンのブラウザが次々とWebフォント(@font-face)をサポートする中、現状の欠点[*後述2を参照]を解決しようと海外の専門家や多くのフォントファウンダリが新しいウェブ用のフォントフォーマットを互いに提唱し合っていました。

そんな中、今後WOFFという形式が標準フォーマットになることが確定し、まずは次期Firefox 3.6がサポートすることが決定しました。

私自身海外の様々なブログやTwitterで情報収集し動向を見守っていましたが、一段落したように見えましたので、一旦ここでまとめてみたいと思います。

1. WOFFとは何ですか?

WOFFとは、Web Open Font Formatの略で、Mozilla Corporationと、Type SupplyLettError、多くのフォントファンダリが共同で提案したウェブ専用の新しいフォントフォーマットです。Firefox 3.6以降でサポートが決まっていますが、現時点ではSafari、Opera、Google Chromeなどのサポートは未定です。しかしこれらのブラウザは何せフットワークが軽いのできっと対応して下さると思われます。
ちなみに読み方は“ウォッフ”なのか“ダブリュオーダブリュエフ”なのか分かりません。

2. なぜWOFFが提唱されたのですか?

前回の記事にも書きましたが、一番はライセンスの問題です。フォントファウンダリ側が、TrueTypeやOpenTypeなど、通常のパソコンで使われる生のフォントデータがそのままサーバにアップされ、使われるということにかなりの抵抗があったためです。下手すればダウンロードされてしまう可能性もあり、ダウンロードされてしまえば当然のことながら通常のフォントとして使うことが可能になってしまいます。また使用許諾書(EULA)の面でも、拡張するのかどうか面倒なことになっていました。

3. WOFFを使う具体的なメリットとは何ですか?

Nice Web Typeによると、WOFFとは“Simply a Repackaged Version”と提言されているように、TrueTypeやOpenTypeと同様のファイルではありますが、ウェブ専用として使えるようにファイルサイズが圧縮され、調整されています。ウェブ専用なのでPhotoshopやIllustrator等ではおそらく使うことができません。

合わせてWOFFには、XMLベースの情報も付加されています。これにはフォントのファウンダリ名やURL、著作権などの細かな情報などが盛り込まれています。これによってライセンス情報が明白になるためフォントファウンダリ側も安心するというわけです。

またTrueTypeやOpenTypeは、ご存じAppleやAdobe、Microsoftが開発したフォーマットであり、それと比べてWOFFは新しいフォーマットで基本的にオープンソースであるため、同じくオープンソース開発であるFirefoxなどにとったら大変扱いやすいのも利点の1つです。

4. WOFFに決まるまでの険しい道のり

ところで、WOFFは一発で決定されたわけではありません。

事は、Tal Leming氏とErik van Blokland氏による提唱から始まりました。提案の内容を見ると、フォントの著作権情報を記したXMLデータを付加する旨が書かれています。この段階ではまだ.webfontやWebOTF等と呼ばれていましたが、何度も議論を積み重ねていった結果、今回のWOFFの草案ができあがりました。

またフォントのライセンス等を取り扱うAscender Corpotationが、Microsoftが独自に開発したEOT形式の簡易版“EOT Lite”を発表しましたが、著作権情報も無ければ、ファイルの圧縮もないため本末転倒、これではTrueType形式とほぼ同じになってしまうため、FirefoxやSafariの開発チームが拒否しました。とはいえこのEOT Liteはすでに世に出ているフォーマットで実用可能です。

5. WOFFはまだ始まったばかり、今後の展開に注目

Firefox 3.6でサポートされたとはいえ、WOFFはまだまだ始まったばかりです。具体的なツールやサービスもまだ登場していません。そして日本語フォントに関してどうなるのかも現段階では分かりません。

WOFFの仕様書(草案)のXMLデータ部分をみると、

<text lang=”ja”>Demo FontはFont Vendorの商標である</text>

と、日本語向けの記述も可能みたいです。となると将来的に日本語に関しても何か影響があるのかもしれません。

…というわけで長くなりましたが、現状をざっとまとめてみました。
間違いがありましたらTwitter(@petitboys)等でご指摘いただけると大変助かります。

また今回はTwitterほか、下記の記事を参考にまとめました(すべて英文)。

Firefox – @font-face
https://developer.mozilla.org/en/CSS/@font-face

WOFF File Format (draft of 2009-09-16)
http://people.mozilla.com/~jkew/woff/woff-2009-09-16.html

Ralf Herrmann’s Typography Weblog – Why webfont services are the future of fonts on the web
http://opentype.info/blog/2009/07/29/why-webfont-services-are-the-future-of-fonts-on-the-web/

Nice Web Type – WOFF, the web standard for type
http://nicewebtype.com/notes/2009/09/13/woff/

.webfont Proposal (2009/07/15)
http://lists.w3.org/Archives/Public/www-font/2009JulSep/0440.html

WebOTF Proposal (2009/08/06)
http://lists.w3.org/Archives/Public/www-font/2009JulSep/1238.html

Ascender Corporation – EOT Lite
http://www.ascendercorp.com/info/web-fonts/

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