2012.8.7 Tuesday - 09:54

Neue Haas Grotesk — Helveticaの元になったと言われる金属活字がフォント化!その正体とは?

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今さらですが、2012年7月に購入したNeue Haas Groteskをようやくテスト打ちしましたのでレビューを。

突然の数量限定セールで衝動買い

事の始め。それは2012年7月19日の夜ごろ、LinotypeがNeue Haas Groteskを299の注文に限り、DisplayのLight/Medium/Blackの3ウェイトを$39で販売中という衝撃的な情報が舞い込んできたので、慌てて購入しました。普通に購入すると$195なのでかなりのおトク感。当然のことながら世界中からアクセスが殺到し、あっという間に販売終了となりました。(Linotypeのアカウントを事前に登録しておいてよかった。)

299セットが次々と売られていくので焦る焦る

Neue Haas Groteskはどんな書体なのか

で、この書体はどんな書体なのでしょうか。Neue Haas Groteskの読み方はノイエ・ハース・グロテスク。直訳すると、“ハース社(鋳造所)の新しいサンセリフ(グロテスク)書体”という意味で、Helveticaの元になったと言われる金属活字で1957年に発表され、その後1960年にステンペル社がHelveticaとして発表しました。

そのNeue Haas Groteskをデジタルフォント化したのは、数々の有名書体や大手企業のカスタムフォントを手がけるCommercial TypeのメンバーであるChristian Schwartz氏。最初はLinotypeから発売されていましたが、後に、大手フォントファウンダリであるFont Bureauも取り扱いを開始しました。Font Bureauは、後手ながら特設サイトを開設するなど大々的にプロモーションをしていました。

Font Bureauの特設サイト。一部Webフォントとしても使われています。

(*Web Designing2012年4月号の特集「Webフォント百花繚乱」にて、「Neue Haas GroteskはHelveticaなのか」という簡単なコラムを書きました。過去にSlantedのサイトにてWebフォントとして使われていました。)

またNeue Haas GroteskとHelveticaの関係や歴史などはこちらのサイトに詳しく書かれています。当ブログでは割愛しますので、興味のある方はぜひどうぞ。

ヘルベチカ Helvetica 世界中に愛される定番タイポグラフィと意外な誕生秘話
http://www.albatro.jp/birdyard/graphic-design/helvetica/index.htm

Neue Haas Groteskのファミリー構成

本文用のTextにはRoman/Medium/Bold/の3ウェイト、見出し用のDisplayにはXXThin/XThin/Thin/Light/Roman/Medium/Bold/Blackの8ウェイト。それぞれイタリック体が存在します。Thinと名の付くものだけで3種類もあり、細い書体が充実していますね。

今回入手できたのはDisplayのLight/Medium/Blackの3つ。まさにお試し体験版にふさわしいラインアップで、この3つを購入したからには他のウェイトも欲しくなりますし、当然ながらイタリック体も欲しくなってしまいます。商売上手です。

Neue Haas GroteskとHelveticaはどう違うのか

ArialとHelveticaを見分けるゲームやコンテンツは数多く存在しますが、その難易度を遥かに超えます。パッと見でNeue Haas GroteskとHelveticaを見比べられる強者はおそらくいないでしょう。とはいえ、Neue Haas GroteskにはHelveticaにはない素晴らしい特長を備えています。

大きな特長の1つ、Helveticaの‘R’が好きじゃないという声を結構聞きますが、そんな方にピッタリ!通常の‘R’のほかに、Akzidenz Groteskにようにシュっとしている‘R’の2種類を備えており、PhotoshopやIllustrator、InDesignなどのソフトで簡単に切り替えることができます。同じように ‘a’にも2種類のデザインがあります。

デザインのバリエーションボタンワンクリックで切り替え可能

他、本文用のTextは等幅数字を備え、また小さいサイズでも可読性を維持できるように調整されていたり、見出し用のDisplayはスペーシングが横広にならないように調整されています。その他の特長はFont Bureauの特設サイトをご覧ください。

Neue Haas Groteskはどんなときに使うのか

当然のことながら、Neue Haas GroteskはHelveticaに一番近いHelvetica代替(オルタナティブ)書体になります。ただNeue Haas Groteskに素晴らしい特長があるとはいえ、見た目はHelveticaそのもの。

「Helveticaと見せかけて実はNeue Haas Groteskなんだぜ?」という自己満で終わるかもしれませんが、Helveticaをこの上なく愛する方、ちょっとした違いで差を付けたい方には是非このNeue Haas Groteskの存在を知ってほしいですし、むしろ実際に打ってみて比べてみるとよいでしょう。

確かに一文字単位、単語単位で比較するとHelveticaとほぼ同じではありますが、実際に文字を組んで並べてみると、その微妙な違いがはっきりと認識できます。書体をテクスチャで判断するというのは、まさにこういうことですね。

・・・

Neue Haas GroteskはLinotypeFonts.comFont Bureauのほか、MyFontsなどでも購入することができます。

MyFontsでNeue Haas Groteskを購入する

Font Bureau – Neue Haas Grotesk特設サイト
http://www.fontbureau.com/NHG/

Linotype – Neue Haas Grotesk紹介ページ
http://www.linotype.com/6598/neuehaasgrotesk.html

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