2016.1.26 Tuesday - 19:08
Typography 08—付録も豪華!デザイナーが役立つ「書体の選び方・組み方・見せ方」特集
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国内唯一の文字専門誌である「Typography」の8号目が発売されています。
2015年11月の発売以降、かなり日にちが経ってしまいましたが、いつものようにレビューをしたいと思います。
前号では誌面が大幅にリニューアルし、特集も「活字」だったので、このままこのような系統の路線かなと思ったのですが、今号は「書体の選び方・組み方・見せ方」と、現場で働くデザイナーが役立つ内容となっています。
まず「書体を選ぶ」では、様々な観点から書体の選び方を紹介しています。
時代別の欧文書体の選び方では、ルネッサンスやアールヌーボーなどのデザイン史と照らし合わせた様々な時代の書体が紹介されています。具体的な書体やデザインのサンプルも掲載されているので、とても分かりやすいですね。
同じように国別、雰囲気別の観点からも様々な書体が紹介されています。
ただし、誌面にも書かれていますが、国別に紹介されている書体が特定の国だけをイメージしているということではないので注意しましょう。
個人的に路線図や空港、交通機関などのサインデザインによく使われるサンセリフ体のページはお気に入りです。ちなみにVialogは日本の高速道路の欧文書体にも採用されていますね。
和文書体の選び方では、明朝体・ゴシック体・丸ゴシック体の3つのジャンルで書体が比較されています。書体の使用例としていくつかの装丁デザインも紹介されています。
欧文書体の選び方では、セリフ系、サンセリフ系、ジオメトリックサンセリフ、グロテスク書体、ヒューマニストサンセリフの5つのジャンルで書体が比較されています。よく似た書体であっても、どこが異なるのか解説をみると違いが分かるようになります。
続いて「書体を組む」ではタイトル文字の組み方や、InDesignやIllustratorを使った美しい文字組みを行うための設定方法などを解説しています。
特に組版については、私も含めて苦手意識が強い方が多いのではないでしょうか。とても分かりやすく解説されているので、保存版として重宝します。
最後の「書体で見せる」では、企業のコーポレート書体(カスタム書体)について、AXISフォントのType Projectの事例や、国内外の大手企業の実績があるMonotypeの事例を紹介しています。有名企業が制定するコーポレート書体は、実績のあるフォントメーカーやタイプデザイナーが裏で深く関わっています。
そして今号の目玉は何と言っても、豪華な3大付録です!編集担当の宮後さんからコメントをいただいています。
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書体メーカー各社のご協力により、豪華付録をお付けできました。
「本文用 和文書体見本帳」は、書体メーカー9社400書体の本文書体を一覧でき、携帯に便利なサイズなので、システム手帳に挟んで、打ち合わせ時などに使っていただけるとうれしいです。
まだ発売されていない書体も載っていますので、探してみてください。
「Monotypeカレンダー」は、同社タイプディレクターの小林章さんに12か月分の書体を選んでいただき、構成しました。
実用的なカレンダーではなく、書体が引き立つグラフィカルなカレンダーにしています。
数字同士が重なり合う面白さを表現するため、オールドスタイル数字を使って重なり合った部分の色もきれいに見えるように工夫しました。
「モリサワ小冊子」は、同社のイベントなどでしか配布されないものを特別頒布していただき、本誌の付録としてつけていただいています。
冊子の両面がダブル表紙になっており、2つのコンテンツが楽しめます。
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特にカレンダーは2016年の年始めにはうれしい特典です。毎年やってほしいですね。次号も楽しみです。
Typography
http://typography-mag.jp/
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